ヒューマンリレーションコンピテンシーの「威力」

ヒューマンリレーション・コンピテンシーの「威力」

ヒューマンリレーション・コンピテンシーの「威力」

この本はまず単純な成果主義の導入に警鐘を鳴らしています。それは次の理由によります。「人間は人間を『客観的』に見ることはできない。『主観的』に見ることができるのみである」これは人間が無意識的に大なり小なり自己中心的な生き物だからです。この本の副題は「『ついていきたくなる』上司の研究ですが、具体的には『ついていきたくなる』上司については何も書いてありません。私は「人間は主観的な生き物である」ということを理解しているのが「『ついていきたくなる』上司」ではないかと読みました。具体的に本書に書いてある上司が知るべきことは以下のとおりです。

  • 自分(=上司)の評価は客観的な評価でなく,自分の主観的な評価である
  • 評価される側は評価される側の好むような行動をとる
  • 人間の評価は外部の状況により左右されやすい
  • 部下は自分(=上司)の意見が正しいからではなく,自分が様々な勢力(賞罰や情報)を持っているから従う
  • 人間は「強きを助け,弱きをくじく」に傾きやすい
  • 人間は自分の意見が「平均的で普通」であると思いやすい

この本の内容はすぐには役に立ちませんが,自分が人の上にたったときには覚えておきたいことです。それにしても、こういう本を読むと社会心理学のすごさを思い知らされますね。