意思表示をすることの大切さ(「あれもこれも」でなく「あれかこれか」)

今日は都知事選の日。投票所に向かいながら、政治とシステム開発の共通点について今週考えてみたことを思い出してみた。共通するのは,両方とも「プロジェクト」であるということである。以前読んだパイロットが空から学んだ一番大切なことには、「プロジェクトとは複数の人が協力して一定の制約の中である目的を成し遂げること」とあった。私はこの中でも「制約」という言葉に注目して考えてみた。


「制約」とは何かというと「ヒト・モノ・カネが限られている」ということである。政治に対してもシステム開発に対しても,人々は様々な要望を出す。それらはすべて実現できればいいが,そうはいかない。それは「制約」があるからである。様々な要望に優先度がつけられて優先度が低いものは実現されない。つまり「あれもこれも」実現されるわけではなく、「あれかこれか」しない実現しない。この要望に優先度をつけるための一つの方法が選挙。


具体的には,選挙である候補のある政策が気に入ってそれに投票したとすると,その他の政策よりもそれが優先度が高いということである。もちろん、政策そのものに投票するわけでなはいので多少のぶれは生じるが単純に言うとそういうこと。だから、選ぶときは慎重にしなければならない。また、気に入ったものがなくても何らかの意思表示をしなくてはならない。何も意思表示をしない人は出来上がったものに対して,批判をする権利はない。意思表示の仕方は「あれが欲しい」だけでなく「あれはいらない」という方法もあるのだから。


ただ政治とシステム開発で違うところは、政治の世界では誰も出してないような要望がいつのまにか紛れ込むことがあることである。システム開発では誰も要望を出していない機能がつくことは基本的にありえないが、政治の世界では時々ある。例えば,ハコモノ行政。外観は立派だけれどだれも使わない建物や道路は、デザインはいいけどだれも使わないシステムの機能と同じである。作った側には自己満足が残るかもしれないが,使う側には何の意味もない。


最後に政治とシステム開発の違いをもう一つ。システムはプロジェクトが終わって完成してしまったら仕様修正はできないけれど,政治のプロジェクトはエンドレス。次の選挙でいくらでも仕様修正が効く。だから、選んで投票して終わりではなく次にどういう方向で仕様修正をするかを考えながら見守っていきたい。