清水真砂子さん(翻訳者、児童文学者)

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清水真砂子さんは「ゲド戦記」の翻訳者。この方のエピソードだけ3つあるので気になっていましたが,やはり聞く価値はありました。「ゲド戦記」は30年前(1976年)に翻訳されたものだとか。ということは自分の子供のころにはあったということ。残念ながら,自分は子供の頃には読む機会はありませんでした。時間があったら読みたいものです。

大人がファンタジーを女子供のものとして馬鹿にするのは,その中に自分の根幹をぐらぐら揺さぶるものがあるからだ。それから目を背けたいから馬鹿にするのだ (By ル・グウィン)

  • 翻訳という仕事
    • 作品の背景を知る必要性
      • 南アフリカの民話・昔話は「Long Long Ago」ではなく「Long Long Before」で始まる
    • 感動する作品に出会ったことがない人間は翻訳家になれない
    • 作品が求める言葉を使う。誰がこの作品を読むかは考慮しない。
  • 本・文学・児童文学
    • 「本・文学は眼鏡」
      • 自分の目で見ることが必ずしも見えるということにならない。それを補うもの
      • その人に度があわないのもあり,質が悪いものもある
    • いい本とは
      • 自分をわくわくドキドキさせるもの
      • 自分の足元(価値観)をぐらぐら揺さぶるもの
      • 大人が読んでわくわくドキドキしない本を,子供に読ませるのは失礼
      • 「離乳食ばかりでは子供は育たない」
  • 子供たちと読書
      • 「本を読まない子供は悪い」というレッテル貼りは危険
      • 本以外にも子供を成長させるものはいろいろある
  • 現代の子供たち
    • 現在の若者は我慢しすぎ
    • 私の世界が増大している
    • 一人でバランスをとろうとしない

ちなみに「ゲド戦記」の映画化について原作者のル・グウィン宮崎駿氏を橋渡ししたのが清水さんとのこと。宮崎駿氏が「こんな哲学的な作品は映像に出来ない」とおっしゃったとかで宮崎吾朗氏が映画化することになったとか。調べてみたら,ル・グウィンが映画版「ゲド戦記」の感想を述べているサイトに行き当たりました。翻訳を読む限り、ル・グウィンは映画版に満足していないようですね。その部分は清水さんが宮崎吾朗氏を誉めているのとちょっと違います。

ル・グウィンの感想Ursula K. Le Guin: Gedo Senki, a First Response
翻訳版starleaf.net