最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか

やっと読み終わった。読むのにかなり時間がかかったが,読み応えのある本だった。私も自分のミスでお客様のシステムを止めたことがあるが,どんな大きな事故も小さなミス,とくに人間的なミスから起きるのだと改めて感じた。そして、事故を拡大させてしまうのも最小限に留めるのも人間なのだ、と。


この本で私が一番心に残ったのが,「自分だけはうまくやれる、という幻想」の章。一部を引用してみる。

(前略)平均的人間は、自分のことを技量においても知識においても平均以上だと評価している,という既知の事実をさらに追究してみようと考えた。平均的人間は,技量において平均以上ではありえない、ということは明白だ。だとすれば、われわれが自分自身のことについて知らないのはどうしてなのか。無知が自信過剰をはぐくむ、と二人はいう。なかでも、危険というほかはないほどの知識しか持ち合わせていない分野においてそれは顕著だ,と。(後略)