今年38冊目 それでも、日本人は「戦争」を選んだ
- 作者: 加藤陽子
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2009/07/29
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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以下、長文注意
歴史は単純には繰り返さない
政治は大衆のいるところで始まる
「戦争は政治的手段とは異なる手段を持って継続される政治に他ならない」
「戦争は国家と国家の関係において、主権や社会契約に対する攻撃、つまり、敵対する国家の、憲法に対する攻撃、という形をとる」
ルソー
歴史とは現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話
E・H・カー
- 外交政策の形成者は、歴史が教えたり予告していると自ら信じているものの影響をよく受ける
- 政策形成者は通常、歴史を誤用する
- 政策形成者は、そのつもりになれば、歴史を選択して用いることができる
アーネスト・メイ
相手が使った論理をそのまま使って反論するというのが、いちばん効く
政治上、経済上の問題よりも、意識の問題、アイデンティティにかかわる問題のほうが、人々の心の中に大きな傷を残すことがある
いろいろな知識を持っていたと思われる東大生の88%が武力行使を「是」としていた
当時の日本人は日中戦争を戦争ととらえていない
ある国の国民が、ある相手国に対して、「あの国は我々の国に対して、我々の生存を脅かすことをしている」あるいは、あの国は我々の国に対して、我々の過去を否定するようなことをしている」といった認識を強く抱くようになっていた場合、戦争が起こる可能性がある
本来、政治に関与してはいけない集団が、政治がなかなか実現できないような政策、しかも多くの人々の要求にかなっているように見えた政策を実現しようとした場合はどうなるか。
戦争に関することでは、相手方に対する人種偏見が、大きく作用することがある
今でも国や県がやることはだいたい同じですが、これこれの期日までに、何人の分村移民を集められれば、これこれの予算をつけてやる、というそのようなやり方で、村々に競争をさせた
歴史の必然に対して、個人の資質がいかに大きな影響をもつか
天皇を含めて当時の内閣や軍の指導者の責任を問いたいと思う姿勢と、自分が当時生きていたとしたら、助成金ほしさに分村移民を送り出そうと動くような県の役人、あるいは村長、あるいは村人の側にまわっていたのではないかと想像してみる姿勢、この二つの姿勢をともに持ち続けること、これが一番大切
この本は以前から気になっていましたが、この本の著者の話をテレビで聞いて面白いと思い読んでみました。実に興味深い本でした。序章では近現代史を考える意味が著者なりに述べられており、1章から5章までで日清戦争から太平洋戦争までの歴史が述べられています。日本側からだけでなく、当時各国がどのような意図で動いていたかを諸外国の史料から述べているのが興味深いところです。日本の動向も教科書で習うような表面的な動きの裏側を知ると、いろいろと考えさせられます。この本は著者と中高生の対談の形式になっているのでわかりやすく書かれていますが、歴史に興味のある方ならどなたが読んでもいい良書かと思います。序章を読むだけでもいろいろなものが得られると思います。今日からドラマ「坂の上の雲」が始まりましたが、この本を読んでから見ると違った見方ができるかもしれません。