一流の人の言葉を聞く楽しみ

変わりゆく現代将棋 下

先日読み終わった本です。この本は羽生さんの本ですが将棋ファンの中では好みが分かれているようです。好みが分かれる理由、それはこの本を読んでも一般の人が将棋が強くなるのは難しいからです。この本は、いってみればノーベル賞学者の専門書を読んでいるようなものです。しかし私はこの本を興味深く読みました。特に「矢倉、その進化の歴史」の部分は面白かった(内容を理解できたかどうかは別問題ですが)。この本に以下のような一説があります。これは羽生さんと対談した梅田望夫さんの言葉ですが、以下の言葉私も同感できます。

将棋のタイトル戦、プロボクシングのタイトルマッチ、集団スポーツではありますがプロ野球もそうですが、圧倒的な修練の結果ある境地に達した人同士の戦いについて書かれたものを読む。そういうことが、僕は昔からずっと好きでした。

ところで、私の趣味のひとつに酒造・ビール工場の見学があります。これは、美味しいお酒を探して飲む、それが目的のひとつではありますが、それだけではない魅力があります。それは何だろうと考えている際に上記の言葉を見つけ、まさにこれだと思い当たりました。酒造・ビール工場の中の人は戦っているわけではありませんが、ある境地に達した人であることは確かです。そういえば、しばらく前のNHKの番組に「ディープピープル」という番組がありました。この番組は「一流の3人が当事者にしかわからない深いトークをする」ものでしたが、私はこの番組も好きでした。

ある境地に達した人の言葉を聞くというのは楽しいものです。たとえ、それが自分には理解が難しいものであっても。そのような言葉を求めて、さまざまな本を読み、さまざまな場所を見学したいものです。