功名が辻 第4巻

第4巻は関が原から土佐転封、そして一豊の死で完結.石田三成の挙兵を聞いた東軍の小山会議.そこで一豊は一世一代の賭けに出る.それが成功して,一豊は関が原の戦いそのものではたいした働きがないにもかかわらず,家康は一豊を土佐一国の主にする.解説にもあるが,おそらく家康は自分に似た一豊の律儀さを評価したのであろう.このあたりまで読んでやっと司馬遼太郎がこの小説を書く気になったのかがなんとなくわかる.(あくまで、なんとなくだが.)土佐転封の話の中で「高知」と名づけたのが山内一豊であったことは、「へぇー」という感じ.一国の主になった一豊は長曾我部氏の残党に手を焼き非情な手段にでる.それを知った千代は一豊とともに一国の主になることを目指してきた結果がこのようなことになったことをさびしく思う.やがて高知城が完成、それを感慨深げに見る二人.養子の忠義に嫁をもらうことにする一豊.ここでも、この小説らしいちょっとした話がある.忠義の婚儀の直前に一豊は死去.


前にも書いたが,この小説はつまらない人にはまったくつまらないであろう.この小説は他の司馬遼太郎の小説と違い,血湧き肉踊るような展開はない.山内一豊という人物は何かを成し遂げた人物でも、理想を持っていた人物でもないからだ.そういう意味では、来年の大河はどれだけ人物の心を描けるかがポイント(と、偉そうにいってみる.)おそらく、「利家とまつ」と同じような流れになると思われるが,中途半端に作るとどんなに役者が良くても「武蔵」と同じように駄作といわれる可能性がある.