津軽双花

津軽双花

関ヶ原の戦いから13年後。石田三成の三女辰姫が正室として嫁いでいた津軽藩主信枚のもとに、新たに徳川家康の姪である満天姫が正室として嫁ぐ。立場上対立しながらも、お互いを認め合い競い合いときには協力して津軽藩を守る二人。辰姫に子が生まれると、満天姫はその子を世継ぎとして認める。辰姫の死後、満天姫の実の子である直秀を担いで福島家を再興しようとする陰謀に巻き込まれ直秀を失うも、辰姫との約束を守り懸命に津軽藩を守る満天姫。戦場に出ずとも、戦う女性の姿は美しい。葉室麟さんの傑作の一つ。

 謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉

謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉

著者は辺境探検家の高野秀行さん。探検したアジアで食べた納豆をきっかけに、アジア納豆を食べる旅に出ます。各地で納豆を食べ、アジア大陸の人々に日本の納豆を食べていただいて感想を聞いたりされています(その感想は「日本の納豆は味が一つしかない」だったりしますが)。帰国してから、自分が食べたアジア納豆を自作されたりもしています。その過程で納豆を食べるアジア大陸の人々の手前味噌ならぬ手前納豆意識に気づき、納豆は味噌・醤文化の漢族とカレー文化のインドに追いやられたマイノリティで辺境の民の食べ物である仮説をたてます。

この本で私が一番心に残ったのは、著者がブータンを訪れる章。著者は過去にもブータンを訪れており、「未来国家ブータン」という著書を出していますが、そこでは納豆には触れていません。この本を書く過程で改めてブータンを訪れてそこに納豆を食べる人々がいることに驚き、それがネパール系ブータン人の難民問題とつながっていることに改めて驚きます。難民問題の難しさを考えさせられる章です。

著者は日本の納豆の由来についても追いかけており、その中で納豆は東北の蝦夷(えみし)由来説をたてます。また、縄文時代から人々が納豆を食べていたのではないかと仮説をたてています。著者は触れていませんが、東北の蝦夷縄文人の子孫という説があり、蝦夷大和朝廷の争いは縄文人弥生人の争いともいえます。つまり、日本国内でも納豆は辺境の民の食べ物ということになります。

辺境探検家の著者の面目躍如たる一冊です。

 世界の辺境とハードボイルド室町時代

世界の辺境とハードボイルド室町時代

某書評メルマガで紹介されていて読み始めましたが、目から鱗が落ちすぎました。現代ソマリア室町時代の共通点から始まって、「さき」と「あと」の話、独裁者の平和志向の話、日本人はなぜ政府を「くに」と呼ぶのか、等々筆舌に尽くしがたい面白さです。この本を読んで改めて考えたこと、それは我々が当たり前と思っている「伝統」「常識」の起源がいつ頃の何なのかを考える必要があるということです。戦前か、明治維新か、江戸か、室町か、鎌倉か、それ以前の律令制度か。そして、その「伝統」「常識」ができる前には、別の日本があったと考えると、また違った世界が見えてきます。ちょっと本の内容からずれますが、例えば夫婦別姓の問題について考えてみると、そもそも江戸時代までは、名字は天皇を中心とする公家社会と武士のもので、その他の民には許されていませんでした(屋号はあったようです)。それが、明治3年の平民苗字許可令で許可され、明治8年の平民苗字必称義務令で義務化されました。つまり、公家と武士以外の人々の名字の歴史はたかだか150年しかありません。そう考えると「夫婦同姓でないと日本の家族観が崩れる。伝統が崩れる」といった意見がちょっとずれているように思えます。本の中にもありますが、今生きている社会がすべてではありません。現代が特殊だと考えると、また違ったものの見方ができるのではないでしょうか。

 今年のモットー

年末のテレビ番組で近藤麻理恵さんが「片付けるとは文字通り片を付けること。期限を決めて、それまでに決めること。」とおっしゃっていました。今年はさまざまな事柄に「片を付ける」年にしたいと思います。

 今年読んだ本ベスト4

争うは本意ならねど ドーピング冤罪を晴らした我那覇和樹と彼を支えた人々の美らゴール

スポーツノンフィクションの名作。こういう観点からスポーツを書いた本は少ない、と思う。自分が「争うは本意ならねど」強大な権力と闘わなくてはならなくなったときにこのような行動をとれるだろうか、そんなことも考えさせられる。自分の羅針盤となるかもしれない、そう思わされる本。

ぼくたちは戦場で育った サラエボ1992─1995

戦争中に子どもでいるってことは、子どもではいられないってこと!

1992-1995の旧ユーゴスラビア紛争のサラエボ包囲戦時に、当時サラエボで「戦時下の子どもたち」だった人々の声を集めた本。戦争とは何かは大人よりも子どものほうがよく知っている、そう思わされる。サラエボ出身のオシム氏も推薦の本。

天下 家康伝 <上>
天下 家康伝 <下>

今年亡くなられた火坂雅志さんの遺作。火坂さんの作品は「天地人」「真田三代」など、徳川家康を主人公と対立する役柄として書くことが多いが、この本はその徳川家康が主人公。「ああ、この人は家康をこのようにとらえていたのか」ということがわかり、「この人はこの本を書くために今までさまざまな歴史小説を書いてきたのではなかろうか」とさえ思わされる。火坂雅志という作家への評価が変わるかもしれない本。

1945年のクリスマス―日本国憲法に「男女平等」を書いた女性の自伝

日本国憲法に女性の権利を書いたベアテ・シロタ・ゴードンの自伝。憲法改正が叫ばれる今、読むべき本だと思う。自分はベアテと同じくらい真剣に憲法のことを考えているだろうか、そんなことを突きつけられる。

ビール大手4社の関東の7工場見学制覇!

さる5/5にキリンビール取手工場の見学に行ってきました。今回の見学時間は短いコースで工場見学に慣れている身としては取り立てて特別なものはありませんでしたが、GW企画ということで空き缶積み競争がありビールを飲みながら1位になり見事にキリン別格を2本ゲットしました(そんなところで本気出してどうする(苦笑))。


さて、ここで改めて見学に行ったビール大手4社の関東の工場を一覧と地図で見てみましょう。

最初に工場見学をはじめてから10年くらい経ったような気がします。一番思い出深いのはサッポロビール那須工場でしょうか。やはり、ビール作りは貴重な体験だったと思います(今もできるのかどうかわかりませんが)。そして、工場見学を知り合いに紹介するなかで名古屋や関西のビール工場や灘の酒蔵見学にも行くことができました。これからは、関東以外の地域の見学はもちろん、最近クラフトビールを飲む機会が増えたのでその工場の見学、日本酒醸造所やワイナリーの見学、特にマイクロファンディングで投資した醸造所の見学などをしたいと考えています。工場見学をして中の人の思いを知ったうえで飲むお酒はやはり格別です。

 弘前さくらまつり

遅ればせながら、写真をあげておきます。ちなみに、弘前城は現存12天守のひとつです。現存12天守制覇にまた一歩近づきました。









さくらまつりの後は長勝寺と革秀寺へ。津軽藩ゆかりの寺です。長勝寺青森県最古の木造建築だとか。